作品レビュー 2018年2月3日

ぼくの名前はズッキーニ

公開直前!「ぼくの名前はズッキーニ(原題:Ma vie de Courgette)」の作品レビューです。

上映情報

公式サイト→http://boku-zucchini.jp/index.html
新宿ピカデリー、恵比寿ガーデンシネマほか全国で2月10日から上映。

阿部は、一足はやく2017年3月の東京アニメアワードで観賞しました。
以下は実際に見た感想や、監督・スタッフの方々の登壇インタビューで聞くことができた情報などを交えつつ紹介していきます。

映画の感想

初見ですごく好きになった映画なので…、感想はたくさんあるのですが…ネタバレしない範囲で言えるのは
まず!キャラクターがとても魅力的な映画です。ただ可愛いだけではなく、出てくる子どもや大人たちみんながどこかおかしく、哀しく、愛おしい。

お話は主人公と、周りの子どもや大人たちとの葛藤がメインになってくるのですが、皆がそれぞれいろんな事情を抱えていて、一人一人に感情移入してしまいます。

人形は頭と目がとても大きく、デフォルメされた人形らしいフォルムをしています。
なのに、お話が進むにつれ、彼らが本当に実在する子どものように見えるのです。
息遣いや、瞳の揺れ、表情、仕草などの演技の細やかさがとても実感に近いというか、現実感があるというか。ふっと伏し目がちになった主人公の表情を見ていると、
「感情をあまり表に出すことができなかった幼い頃の自分も、あんな顔をしていた気がする」と、つい情が移ってしまうのでした。

メイキング

人形を作る部署だけでも、モデルを作るパート、関節を作るパート、色を塗るパート、衣装を作るパートなど細かく分かれておりそれぞれ別々の人が携わっているそうです。

本編のエンドロールやメイキングを見ても、とても多くの人が関わっていることが伺えます。
フランス・スイスで製作されたため、スタッフは主に欧米の方たちのようですが、日本人の方も参加されています。お名前は白石翔子さん。アニメアワードでは監督とともに登壇され、貴重なお話を伺うことができました。

髪の毛は粘土で作ったかのような質感ですね。これは動かせるよう、中に金属線を入れたフォームラバーでできているそうです。手足はシリコン製。
顔の土台は3Dプリンターで出力されたものです。中を空洞にできるため大きさの割には軽くできるのが利点のようです。
スクリーンショット 2018-01-25 1.22.24

顔の色は、ペインターと呼ばれる色塗りの専門部署の人たちが塗っています。
顔のざらりとした質感や味のあるグラデーションは手塗りならではですね。 肌の色味も一人一人まったく違っていて、そのキャラクターの内面が伝わってくるようです。
ちなみに白石さんはこの部署に携わっていたそうです。


スクリーンショット 2018-01-25 1.22.58

口とまゆげはマグネットで貼り替え式。限られたパターンの中で、ごくごく繊細な表情の機微を作りだしています。まさにアニメーターの腕の見せどころ!

目玉は顔に埋め込まれており、指で触って動かすことができます。監督登壇の際に人形をお持ちになっていたので動かして見せていただいたのですが、瞳をシールなど貼り付けるような方法ではとてもやりきれないような、こまやかな瞳の演技はこうやってできていたのか!と驚きました。
また「ウォレスとグルミット」などで見るように瞳の中心の穴に針を差し込んで動かす方式ではないため、アップになったときに映る瞳の光彩がとてもきれいです。

あらすじ

決定的なネタバレはありませんが、前情報を入れたくない人は見ないでくださいね。

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主人公は、母親につけられた「ズッキーニ」という愛称を気に入っている9歳の男の子。
思わぬ事故で母親を失い、孤児院に入居します。

そこには、みんなそれぞれの複雑な事情を抱え、親と離れて暮らさざるを得ない5人の子どもたちが住んでいました。リーダー格のシモンは、新入りへの洗礼として「お前はなぜ孤児院に来たのか」しつこく聞き出そうとします。戸惑うズッキーニでしたが、やがて自分の心の傷を話したことで、シモンや他の子どもたちとも次第に打ち解けていきます。

そこへある日、孤児院にカミーユという女の子が新しく入ってきました。
明るく魅力的な女の子ですが、どうして孤児院に来ることになったのかは、決して話してくれません。
カミーユに興味をもったズッキーニは、その理由が書いてある彼女のプロフィールカードを見るため、園長の部屋に忍びこみます…

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いっけん重い話だけれど、見終わった後はとても爽やかな気持ちになれる名作です。
ぜひご覧ください!


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アニメーター・セット/人形造形
コマ撮りアニメーターをやっています。動かすのが好き。
セットや小道具、人形も作ります。
ドラゴンについての解説を書いてますが、まだわからないことも多いので
こういう使い方もあるよ!等あったら、ぜひメールください。
お仕事はこちらから→ yasuko.a.85@gmail.com
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