今回は僕(竹内泰人)の自主制作作品です。なんと本物の水を使ってコマ撮りをしました!解説動画も作りましたので、あわせてご覧ください!
「日本のおいしい水」本編&メイキング
水がウサギやお花になって最後はペットボトルにあつまるというCM。本当のCMではないです。この作品はもともとテレビ企画で「新しいミネラルウォーターのCMを作る」というお題をもらって作りました。そのことも後で語ります。
メイキング
コマ撮りの解説をコマ撮りで作ったら面白い!ってことで僕とコマ吉たちに出演してもらいました。
スポンジシート
背景部分にはEVAスポンジシートという素材を使っています。ダイソーで売ってます。他にも「ライオンボード」「コスプレボード」という名前でも売られてます。コスプレで使われる工作用の素材らしいです。
水まんじゅう
撥水性で水を弾くので、水を垂らすと水滴は丸くなって、そこに強いライトで影をながく落とすとこうなります。
物の素材感はライティングでかなり変わります。
揺れる表現
冒頭の水が揺れるシーンは、ストローで息を吹きかけて形を変えつつシャッター。冒頭のシーンは5枚の画像をループしています。
OHPシート
OHPシートを切ってそこに水を垂らすと表面張力でシートの形になります。今回はAdobe Illustratorで形をデザインして、レーザーカッターを使ってシートを切りました。OHPシートでなくても透明で薄いシートであればできると思います。
クリアファイルに貼り付けて保管。名前をつけておかないとどれがどのポーズか分からなくなるから管理は大事。
水が染みこむ
ジョウロのこの部分、水がシートの裏に染み込んでます。複雑な形にすると時間が経つにつれて染み込んでしまい、そこだけ光の具合が変わってしまうので要注意。特にへこんだ形のところが染み込みやすくて、時間が経つと範囲も広くなるので急いでシャッターを切りました。
水の色つける
「Dr.マーチン カラーインク」という画材で色をつけてます。透明感があってとても綺麗。
シートに色水を垂らすと水の厚み具合で色の濃さが変わるのが難しかったです。ウサギのピンク色はコマごとに違うし、胴体と足の先でも色が違う(水の盛り上がり具合が違うから)。でも、この色むらがアナログっぽいしコマ撮りらしさとしていいかなと判断。
色が染みる
後半の花や鳥がたくさん出るシーンは苦労しました。11個の花がありますが、同時にやろうとしたら、インクがスポンジシートにだんだんと色移りしていったのです。素早く撮って拭き取れば問題ないんですが、同時にたくさんのオブジェを撮影するのはできませんでした。なので花は個別で撮影して編集ソフトAfterEffectsでマスク合成を使ってこのように並べています。
ペットボトル
ラベルも自作しました。SUNTORYに似せてKOMADORY(こまどり)にしました。
撮影日数
撮影日数は7日間
撮影枚数は565枚
花のシーンで1つ1つ別で撮影してるので枚数が多いです。
そもそも何の企画?
「映像 ビックリエイター」というTVの特番が2年前にありました。MCにロバートの秋山さん!EXILEの佐藤大樹さん!ゆきぽよさん!
ネットで話題の作家たちが「定番の映像を新しく作り替える」という企画。お題があって「映画館で最初に流れる映像」「結婚式のムービー」「ミネラルウォーターのCM」の3つ、僕はミネラルウォーターの担当でした。
水のCMなら水でコマ撮りしたい!と思って、はコマコマ隊員のながしまたいがくんが水のコマ撮りをやっていたので、彼にお願いして手法を伝授してもらいました。
映像のストーリーはすごい悩んでいろいろなパターンを考えたのですが、最終的にウサギが好きだったのでウサギを主人公に。「水に変身できるウサギさんはどんなことをしたいだろう?」と考えてジョウロで水やりのアイデアが出ました。そしてすべての生物にとって水が大事というテーマから水が花や鳥に変身するというシーンになりました。生き物の繋がりというコンセプトは僕の過去作の『魚に似た唄』からずっと考えていることですね。
こんかい魚を出したら生臭い水みたいなイメージになるかも!?ってことで魚は出しませんでした。出しても綺麗な魚になったかもですが。
さて、実はこのミネラルウォーターのお題で映像をつくったコマ撮り作家がもう1人います。そちらも面白いアプローチで作っていますので次回の記事で紹介したいと思います。
さいごに
大変でしたが、すごい綺麗な映像が作れました。こんかいは30秒と短めでしたが、もっとキャラクターやストーリーがしっかりしたものも作ってみたいですね。
たいが君とも話しましたが、手法をこうやって広めることで誰かが水コマ撮りに挑戦してくれたらいいなと思っています。僕が思いつかない水を使った表現やストーリーも出てくるだろうし、それが楽しみです。
スペシャルサンクス
ながしま たいが
今回のスポンジシート、OHPシート、カラーインクを使ったやり方たいが君から教えてもらいました。彼はスポンジシートを百均で見つけていろいろと試していました。たいが君はこれ以外にもいろいろな実験的コマ撮りをTwitterなどで発表しています。
森 凡子
本編のBGMは森凡子さんにお願いしました。クラリネットとスティールパンの音で不思議さと楽しさのある音楽になりました。ありがとうございました!
井上 仁行
パンタグラフの井上仁行さんにレーザーカッター作業をお願いしました。ありがとうございました。
データと切る素材を持っていくとレーザーでカットしてくれるサービスもあります。
スペシャルサンクス(つくりかたパート)
宮村 和
コマ吉とパラパラのアニメーターをお願いしました。コマ撮りアニメーター1年目です!仕事が丁寧!!
阿部 靖子
3人の人形を作ってくれました。
阿部さんが書いた人形の作り方の記事もあります↓
たいじん人形制作 「コマ撮り用フェルト人形を作る①〜コア、芯編〜」
コマ吉&パラパラ人形制作 「羊毛フェルトでコマ撮り用人形を作ってみた」
宮原 那由太
大学の後輩で、いまはさまざまなライブの収録や配信など、映像も音もするすごい人。
みんな協力ありがとう!
それでは、エンジョ〜イ、コマ撮りー!!