作品レビュー 2023年6月28日

映画『マルセル 靴をはいた小さな貝』


素敵な映画が6月30日から公開されます!オンライン試写会に招待されて見てきたので紹介します!

『マルセル 靴をはいた小さな貝』公式サイト

予告編

ストーリー


体長2.5センチ。名前はマルセル。おしゃべりで好奇心あふれる貝。
祖母のコニーと一軒家でふたり暮らし。
ある日家に越してきた映像作家のディーンと出会い、初めて人間の世界を知ることに。
離れ離れの家族を見つける為YouTubeに動画をアップしたところ、SNS上で瞬く間にバズり、一躍全米の人気者になるのだが・・・!?

YouTubeからアカデミー賞へと駆け上がった、かつてない映像体験!
A24北米配給で全世界を席巻!
前代未聞の[実写×ストップモーション]モキュメンタリー!

(YouTube概要欄より)

泰人の感想

ひと足先に映画を見ましたが、とても良い映画でした!!好きです!!

映像作家のディーンが小さな貝のマルセルのドキュメンタリーを撮る、というストーリーなのですが、監督のディーンさんが本人役で出るというモキュメンタリー(ドキュメンタリー風フィクション)なのがとても面白いです。

ディーンが住む家の中や庭のなかにマルセルたちが暮らすための小さな家があって、小人(?)の世界と人間の世界が同居している感じが面白いのと、マルセルたちの牧歌的な暮らしと、SNSでバズっていく現代的でデジタルな要素のミックスがいい塩梅で現代の映画として面白いなと思いました。

ネタバレになるから言えないけど好きなシーンがたくさんあります。

演技


マルセルとおばあちゃんのキャラデザは貝殻に片目と足とちいさな口しかないのにとても表情豊かなのに驚かされました。
まばたきと視線の動きがとても細かく演技されています。ネタバレになるので詳しく言えませんが、無言なのにその人が何を考えてるのか、どんな気持ちなのかありありと分かるシーンがあってそれに感動しました。この映画で演技について感動をするとは思ってなかったのでビックリしました。
「目は口ほどにものを言う」の言葉通りだなというか、それをさせたアニメーターすごいです。

まぶたの演技という点では『ぼくの名前はズッキーニ』にも通じると思いました。

クルマのシーン


どうやって撮ってるんだろうって不思議に思ったシーンがあります。マルセルが車で外出するシーンがあって、車の外の光の感じとマルセルの光がバッチリあってる(!?)んです。
↓↓どう撮ってるのかメイキング動画2にしっかりありました↓↓

メイキング1

メイキング2

映画の中でかなり自然に光の変化(動き)があったので、CGでうまいこと誤魔化したのかなーとか思ったけど、リアルに照明を実写にあわせてたようです。(想像で解説しますが)あらかじめ撮影した車の運転シーンでは車が動くから太陽の向きが変わっていきます。それがいつどういう角度で変わるかを考え、モーションコントロール(カメラや照明の位置などをコンピューター制御で動かす技術。コマ撮り撮影の時は、1コマ撮影するごとにカメラや照明の位置・明るさを少しずつ変えていくことが出来る。どう動かすかは事前にすべてコンピューターで設計する必要があるのだが、それが超大変なんです)をつかってマルセルの演技をコマ撮りすると同時に、実写シーンの光の変化を再現して撮影したのです(予想です)。とにかく設計が大変すぎる。すごすぎ。「ちゃんと照明をあわせて撮った」っていうだけて鳥肌たちました。

でもそんな舞台裏のことは見ている時は気になりません。メイキングでも語られていましたが、マルセルたちはごく自然にそこに存在しているように感じました。コマ撮りということをすっかり忘れるくらい。実写+コマ撮り、という構造が人の生活空間+マルセルの生活空間、という構造とうまくはまっていると思うし、アニメーターたちの技術と撮影の設計レベルが高いんだと思います。

それよりもストーリーが良かったです。僕はコマドリストなんで技術面が気になっちゃいますが、コマ撮りということを抜きにしてもおすすめです!!ご覧あれ。

6月30日(金)より公開です。
『マルセル 靴をはいた小さな貝』公式サイト
公開劇場の情報

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「コマ撮り大好きコマドリスト」を名乗って活動中。
コマ撮り映像作家、CM監督、アニメーター。本人が監督するだけでなく、他の監督の企画にコマ撮りアドバイザーとして参加することも。

マネージメントはCM制作会社キラメキ。お仕事の依頼はこちらまで
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