作品レビュー 2020年5月14日

始まりの朝ーYKK-APクリエイターズワークス

ある喫茶店の一日を、朝・昼・夕方・夜の時間で分けた4つのお話。

描かれるのは、店主マドカさんの穏やかな日常の風景です。店内に漂うコーヒーの香り、レコードに針を落とす音、カーテンを揺らす気持ちのいい風を想像しながら、ゆったりとした気持ちで観てほしい短編作品。コーヒーブレイクのお供にぜひ。

  1. 第1話【始まりの朝
    まだ薄暗い早朝、喫茶店の店主マドカさんはお店の準備を始めます。
  2. 第2話【昼下りのひと時
    忙しい時間帯を過ぎて、マドカさんもちょっと休憩。窓にやってきた、小さな来客をお供に。

  3. 第3話【夕暮れのお客様
    陽も傾きかけたころ、お店に小さな女の子がやってきます。迷子かな?マドカさんの心配をよそに無邪気にはしゃぐ女の子との、ひと時の交流。

第4話【初まりの夜
一日が終わり、明日のために丁寧に掃除をするマドカさん。この日最後のコーヒーは、自分のため?それとも…?

アニメートについて

実はこの作品に阿部はアニメーターとして参加していました。(第1話全部と、2・3話の一部)

セリフがない短編なので、店主の人柄を表現するのに、所作には特にこだわっています。

常にぴっと背筋を伸ばし、折り目正しく。コートをかけたり、カップにコーヒーを注いだりする何気ない仕草も雑にならないよう、できるだけ丁寧にアニメートしました。

以下は、阿部の担当したカットから特に見てほしいところをピックアップしました。

1話ーー窓を開けるシーン。暗い店内に光がサッと入ってくるところは、照明も1コマずつ明るくしています。カーテンには中に針金が入っています。カーテンがなびくところは、気持ちのいい風を感じられるように何度も試行錯誤しました。

2話ーーラストカット。窓でくつろぐリスと小鳥のにぎわいを、シルエットで表現しています。鳥が降りるときの浮遊感は、昔飼ってたインコの動きを思い出しながら動かしました。

3話ーー女の子がミルクを混ぜてフーフーするところ。ほとんど顔が見えないアングルなので、仕草で楽しそうな雰囲気を出したり、口元が見えないけれど一生懸命フーフーしている雰囲気を出せたらいいなと思いながらアニメしました。

YKK-APクリエイターズワークスとは

窓やサッシなどを作っている企業のYKK-APが、クリエイターに依頼して、「窓」をテーマに映像を制作する企画だそうです。

クリエイターは、コマドリルでも何度か取り上げたLunch Box Studios(ランチボックススタジオ)。代表の大石拓郎さんのオリジナルストーリーです。

スタッフリスト(一部抜粋)

ディレクター 大石拓郎

人形制作…大石拓郎 細川奈々美 小川翔大

衣装制作…加藤眞由美(LOOP-M) 森本里紗

美術…大石拓郎 キムラヒデキ 阿部靖子 森本

アニメーター…垣内由加利 おーのもとき 上野啓太 大石拓郎 小川翔大 阿部靖子

エディター…大石拓郎 中村匠吾

カメラ&ライティング…天野 拓


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アニメーター・セット/人形造形
コマ撮りアニメーターをやっています。動かすのが好き。
セットや小道具、人形も作ります。
ドラゴンについての解説を書いてますが、まだわからないことも多いので
こういう使い方もあるよ!等あったら、ぜひメールください。
お仕事はこちらから→ yasuko.a.85@gmail.com
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