作品レビュー 2018年7月27日

AU REVOIR BALTHAZAR

文化庁メディア芸術祭で見てきた作品ですごく良いコマ撮りがあったので紹介します。

タイトルはフランス語で「さようなら、バルサザール」かな?主人公のカカシの名前がバルサザールなのかな。(ネット翻訳で調べただけなので、ちがったらごめんなさい)

予告編


vimeoに上がっている予告編です。vimeoで1$払うレンタル、15$払うと本編が買えるようです。本編は9分。

ストーリーは、嵐のせいで脚が折れてしまったカカシが、貝殻から聞こえる海の音に誘われ旅に出るというものです(ちょっと違うんですが)。

まず森の奥行き感がすごいですよね!!そしてカカシのピョコピョコした動きや体からぶら下がったものがプラプラゆれるのも素晴らしい動きです。木々が風に揺れて落ち葉が舞うシーンとかそのアニメーション(動き)だけで感動してしまいました。背景だけがぐいーっと下がっていく「めまいショット」もしてます!
どうやって撮影しているんでしょう?メイキングもあるのでどうぞ。

メイキング

メイキング映像を見て

マルチプレーン撮影

これはマルチプレーンと呼ばれる撮影方法です。ガラスを何層も置いて、カメラを一番上から真下に向けて撮影すれば、ガラスに乗せたオブジェクトが重なって見えて近景と遠景の表現になり、奥行きのある風景が作れます。(メイキングの0:20あたり)

オブジェをガラスに乗せるだけなので、ある意味で固定がしやすいですし、キャラクターをジャンプさせるとか鳥などを空中に飛ばすなどがやりやすいのも利点です。

背景セット

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セットは木や草など自然物を大量に使っていますね。リアルさと情報量の多さが物語に深みをもたせている印象。
森や草原、雪原など広さや奥行きを感じるシーンが多いです。その自然空間にため息がでました。

鳥の脚

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1:30あたり
カラスやフクロウなど鳥がでてくるのですが、体は2本の脚をいれるスペースがありますね。これはキャラクターに立体感を持たせる効果と、体の位置をそのままに脚を動かしたりできるようにだと思います。脚と体のパーツを重ねただけだと、脚を触ると体もつられて動いてしまい、きれいなアニメートがしづらいです(僕はそういう簡易的な撮影をよくしますが)。

鳥の羽の関節

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1:32から

これは予想ですが、関節に磁石を使っていると思います。2:00あたりで羽のパーツがピタッとくっつくのが見えます。ネオジウム磁石か何かをパーツの両方につければ、くっついたあとはそこを軸にして動かせます。平面のキャラクターの関節の作り方にはネジをつけたり、糸で縫うやり方もありますが、これは簡単に関節が作りやすそう。

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ラップかなにかを巻いた棒をいくつもならべて海にしていますね。海面がキラキラひかってました!

メイキングにはないですが、他にもため息のでるシーンがいくつもあります。おそらくCGはつかわず全部コマ撮りしているんだと思うのですが、それでも「どうやって撮ったの?」と言いたくなるシーンもありました。コマ撮りの美しさとすごさを見せつけられる作品です。
最後はドキっとさせられたのですが、ストーリーも好きです。