前回の購入編からの続き。
今回は実際に改造をしたカメラを使っていきます。
目次
カメラの設定
カメラ側の設定でフォームウェアのON/OFFを切り替えることができます。

フォーカスモードをMF(マニュアルフォーカス)にします。
MFにするとカメラのフォーカスリングを回してフォーカスを合わせることになりますが、それでもドラゴンでフォーカスを制御する機能は使えます。
【検証1】ライブビュー画質の向上
ライブビューの画像サイズが960×640から1920×1280に倍増。これはありがたい!
アニメ中のアニメーターのストレスの大半が「画面が見づらい」ことにあると言っても過言ではありませんからね(たぶん)
では早速ライブ画面を比較してみましょう。
↓ファームウェアなし
そう、画質がすごく向上した!というより、
めっちゃ拡大できるようになった という方がわかりやすいかもしれません。
例えばこのように、画面に対して被写体が小さく写っている場合。
↓ファームウェアなし 画像サイズ100%
↓ファームウェアあり 画像サイズ100%
全く同じ画角で撮っていますが、ファームウェアありの方がライブビューの記録サイズが大きいため、同じ比率でも大きく表示されます。(もちろん縮小すれば画角全体を見ることができます)
そのため、ライブビューを最大比率の400%まで拡大したとき…
↓ファームウェアなし 画像サイズ400%
↓ファームウェアあり 画像サイズ400%
これくらい大きな差が出ます!
画面の中で被写体が小さく映るときや、細かいものを繊細に動かしたいとき、
アスペクト比マスクで画面のトリミング(旧マスクプッシュイン)をしているときなどは特に、画面の中で被写体が小さくなりがち。
もっと画面を拡大表示したいのにできない…ということが、よくありました。
これからは「ライブビューの拡大」機能を使わずとも、より大きく綺麗に見られる!ありがたい!
【検証2】フォーカスのモーションコントロール
フォーカス送りのモーションコントロール(自動制御)撮影ができる機能です。
これも嬉しい!!
今までフォーカスのコントロールは、フォーカス制御用の機材(別売り)を買うしかなかったのですが…カメラとレンズとドラゴンがあればできる!!
手軽にモーションコントロールを始めるきっかけにもなりそうです。嬉しい。
※使用するにはCanon純正のRF レンズと、Dragonframe5以降が必要です。
使い方については長くなるので、別の記事にまとめました。
【DF5】フォーカスのモーションコントロール
↑の画を手前から奥にフォーカス送りして検証します。
【検証3】フォーカスを数値で管理する
モーションコントロール(自動で動く機能)を応用して、フォーカスを数値で管理することができます。これも大変便利。
どういう時に便利かというと、フォーカス送り(ピン送り)の演出があるカットを撮るとき。
通常、フォーカス送りがあるカットでは、空舞台(カラ)を撮るのがとても大変なんです。
今まではマニュアルレンズを使って、レンズにバミリを付けてフォーカスリングを少しずつ手で回して送ったり、
電子制御レンズの場合は、カメラ設定画面でフォーカスを合わせるボタン<>を1クリック、2クリック…とやっていました。
しかもピントが同じところにきてるかどうか、画像を見比べて目で合わせるしかなく、、
このファームウェアなら、フォーカスが数値で表示されるので
数値をXシートに記録しておいて、空舞台を撮るときにその数値に合わせれば…フォーカスがぴたりと戻る!!
めっちゃ便利!
数値で見られるので、フォーカス送りの速度の計算もしやすい!
めっちゃ便利!!
使い方
※使用するにはCanon純正のRF レンズと、Dragonframe5以降が必要です。
①画面右のアイコンをクリックしてモーションコントロール画面を出します。
②画面下部、左側の四本線のマークをクリックして「軸を追加」を選びます。
④AX1(軸)のタブが出てきます。右側の電源ボタンをクリックしてモーションコントロールをOFFにします。
※この時マークが出て警告が鳴ったら、画面左上にある同じマークをクリックしてOFFにしてください
⑤カメラ設定画面を開きます。フォーカスチェックの枠を出すと、フォーカスボタンの上に数値とバーが表示されています。
⑥この数値はフォーカスの位置の記録です。バーを左右にドラッグすると、フォーカスが送られて数値も変化します。
この数値をXシートなどに記録しておきます。フォーカスをずらしても、後から同じ数値に戻せば同じ場所にフォーカスがきます。
※なぜかフォーカスボタンはあまり効かなくなるので、バーをドラッグして調節した方が早いです。
注意点
・ピッタリの数字にはならない
フォーカスの数値は5000とか3000とか、キリのいい数字になるとは限りません。バーが止まるところが有効な数値です。
・シーンを変えるとピントがずれる
モーションコントロールでフォーカス制御をかけているので、シーンを変えると設定がリセットされ、フォーカスがずれることがあります。
・レンズを付け替えると動かなくなった
レンズを付け替える時は、都度モーションコントロールのフォーカスデータを一旦リセットする必要があります。古い軸を削除し、「軸を追加」から作り直してください。
・ズームと併用ができない
レンズのズームリングを回してズームさせると、フォーカス範囲に影響するためフォーカスのモーションコントロールが正確ではなくなります。
【検証4】フォーカスピーキング
ピントが合っている所が赤く表示される機能です。
これも便利です!フォーカスがきてるか不安な時、いちいちフォーカスチェックで拡大して確認する必要がありません。
画面が暗く肉眼ではフォーカスがよくわからなかったり、被写界深度が浅いときや、被写体が小さく見づらい時にも便利です。
使い方
これもCanon純正RF レンズを使用し、「MF」に設定する必要があります。
①カメラ設定画面のフォーカスボタンの左端にある「P」のマークをクリック。
②フォーカスが合っているところが赤い線で表示されます。
③画面上のメニューバー>表示>フォーカスピーキングからON/OFFを設定することもできます。
また、フォーカスの感度(低/高)や輪郭の色を選ぶことができます。
【検証5】絞りのロック
コマ撮り屋の悲願!絞りのロックとは、レンズに内蔵されているアイリス(絞り)を開けたままで固定してくれる機能のこと。絞りの開け閉めによるフリッカーが起きないようにしてくれます!
よく分からない方は、↓こちらの記事をご覧ください。
しぼりによるフリッカー現象
ただ最近はカメラやレンズの性能が上がっているので、絞りの開け閉めによるフリッカーがあまり気にならないという方も多いでしょう。
でもフリッカーというのは、撮影中思わぬタイミングで発生するもの…
絞りを最大(22〜)まで絞ったとき、
数十枚まとめて連続撮影をしたとき、
真俯瞰撮影など普段とは違うセッティングをしているとき、、
上記の条件で、普段は起きないフリッカーが起きたことは実際にあります。
撮影中のリスクを減らすためにとても大事な機能なのです。
ストップモーションモードON/OFFをして、実際にフリッカーを起こして検証…ということまではできなかったのですが、コマ撮り撮影の心配が一つ減った!という喜びは重ねてお伝えしておきます!
使い方
こちらもCanon純正RFレンズと Dragonframe5以降が必要です。
特に設定をしなくても、「ストップモーションモード」がONになっていれば適用されています。
注意点
ちなみに絞りがロックされているいうことは、常に「被写界深度のプレビュー」状態になるので、カメラ設定画面からこの表記はなくなります。
画面奥までくっきり見えます。