コマドリレーに出演してくださった土屋萌児さんの新作です。
ポカリスエットがリサイクルできる瓶での販売はじめたようで、リサイクルできる「瓶くん」と「あの子」が出会って、回収ボックスへ行く物語です。
そしてタイトルにあるスカフィンというのはリサイクルしていくと瓶についてく傷のことだそうです。
スカフィンのうた
歌は中村佳穂さん。演出はKing GnuのMVなどで有名なOSRINさん。アニメーションが土屋萌児さん。
ため息のでるシーンの連発ですね。
メイキング動画
アニメーションの制作方法はカットアウトアニメと呼ばれるタイプ。紙に絵を描いてパーツを切って、パーツごとに少しずつ動かしてアニメーションにします。土屋萌児さんの作品の特徴は大量の細かなパーツたちと、パーツの置き換えでメタモルフォーゼ的な動きがたくさんあること。すべてのカットが制作カロリー高いです。
https://www.mdn.co.jp/news/5964
こちらの記事↑にメイキングについてありますが、62カットあって、撮影は1日1秒、制作期間は4ヶ月半!!土屋さんは撮影しながら美術を作っていくスタイルだから大変そう。海の魚とか瓶の群れとかビル群とか細かい美術が大量ですごい。
ループver
瓶がリサイクルされてまたもどってくることを表すために動画は最初と最後がつながるようになっていますが、公式で52分間もループされつづけるバージョンがあがってました(笑)
リンク
ポカリスエットのサイトでも動画についてやサステナビリティ活動についても書かれています。サイトも土屋萌児さんのアートワークでかざってある〜。
シーン
すべてのカットにため息がでるのですが、そのなかでも個人的に好きなシーンを勝手にあげます。
空に向かっていく瞬間にブラー的なエフェクトの表現をやってる!
窓の向こうへ場面がうつるところは、たぶん窓枠をちょっとずつ張り足して大きくしていってます。
ポカリスエットの液体の表現と、びっくりしたときに目玉も髪の毛も飛び出す動きがイイ!
水にドボンとなって、泡のなかに主人公がいくつも映り込む表現、コマドリレーに出演されてたときに話されていた「撮影したシーンを印刷にして素材にする」という手法かも。
大量の魚たち!こんな量をよく一度に動かすなと作ってる身としては震えてしまいます(笑)
よくみると海底にゴミが溜まっていたりして、おそらく環境問題や廃棄プラスチックのテーマを描いてますね。
地球環境(というか宇宙)や生命のめぐりを感じるシーン!物量!!!
それを見ている「あの子」目の中がキラキラ(これも印刷した素材なのかな?)。たぶんリサイクルとか地球環境について知った顔だと思うのですが、驚いている表情がいいですね。
そして翌日にワンちゃんが瓶くんを連れ去ってしまう急展開!犬の紙の模様がワサワサが動くのがカットアウトアニメっぽくていいですね。個人的には玄関にブレーカーやソテツ(?)があるのが、リアルな感じがしてよいです。
…という想像をしている「あの子」。場面が紙になって丸められるコマ撮り的表現が、考えたくないことを想像しちゃったという意味になっているのが素晴らしい。
長老が空飛ぶ車にのって助けに来てくれました。(透明な素材ってどうやってるんだろう?)たぶん長老は何度もリサイクルされててスカフィン(傷)がしっかりあるっていうデザインなのかな?(ボトルの上と下に白いラインがあります)。そして空に浮かぶときに長老の体がブルブルにゆれている(魔法を使ってる?)のが面白い。
ダイナミックなカメラワークと魚眼レンズの表現!!!カットアウトアニメでこのようなダイナミックな動きは僕は見たことがありませんでした!これはすごい!
さらに大量の瓶の仲間たち。一個一個色や滲みがちがうのがいいですね。
タンポポの綿毛が飛んでいくシーン。背景のレイヤーと、その上にガラスのレイヤーをつかって綿毛を浮かせた表現になっていると思います。綿毛の影があるので。
「じゃ、また会おうね」というコピーとともに、最初のシーンに戻ります。また瓶くんと再会するんでしょう。
すばらしい作品をありがとうございました。