有名なイギリスの民話「三びきのくま」を原作にした短編作品のご紹介です。
「森のなかの大きないえ」/10分
人形もセットも作り込まれた正統派人形アニメーション。絵本の世界を見ているようで、めちゃくちゃかわいくて素敵です。
冒頭の、紙芝居の木枠のような演出からもう凝っています。ふくろうの動きの滑らかさすごい。
女の子のちょっとした仕草や表情がうまい。性格がよく出てる!すこし生意気そうな顔だったり、不安な時は手をキュッとしたり。セリフがなくても思っていることが伝わるし、その表情を見せるために十分な時間をとっているところも素敵だと思いました。
木漏れ日の森、花でいっぱいの明るいお庭、薄暗い家の中の三場面の使い分けも巧みです。場面の明るさが、女の子の心情とマッチしている感じがしますね。
お庭のシーンは全体からいうと少ししか映らないのですが、陽の光降り注ぐ心地よい画が、作品にのどかで優しげな印象を与えています。
後に出てくる三びきの表情と仕草も、よく見るとそれぞれ性格が割り振られているのが分かります。出演する時間が少なくても、感情移入ができました。
他にも、戸棚の上に小さなお花が飾られていたり、この家の住人が決して怖い人たちではないんだな、というのが伝わる演出がされているのが効いています。
あたたかで優しくて、安心して見ることができるアニメーション。小さいお子さんをお持ちの方は特に、ぜひ一緒に観てみてください。
作者情報
アートアニメーションのちいさな学校の人形アニメーションコースの生徒さん(2016年度)たちによる共同制作作品です。
制作
小川 翔大・篠田 小百合・志村 千春・藪下 壮・渡辺 諒