作品レビュー 2016年5月31日

『オオカミとブタ』

コマ撮り作品やコマ撮り以外でも何か面白い作品たちを紹介するコーナーです。
初回は隊員1号竹内泰人の代表作『オオカミとブタ』を紹介します。
自分の作品なのでメイキング的なことを書こうと思います。
大学4年生のときに撮影を始めて、大学院1年のときに完成した作品です。

アイデアのきっかけ

この写真を並べていくコマ撮りのアイデアがどこから出てきたかと言うと
もともとはこういう写真をつなげてパノラマ写真みたいなものを作っていました。
(画像をクリックすると大きく表示されます)

僕の部屋

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ユニットバス

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高架下

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アメリカの芸術家デビッド=ホックニーが発表した手法で「ジョイナー写真」と呼ばれます。
この手法が面白いなと思って、自分の部屋や街中などいろいろな場所で作っていました。

これらを作っているときに、同じ人が複数の写真に写っていて歩いていく様子が見えたり、写真を並べたら空がだんだん夕方になっていったりするのを見つけて、写真作品だけどまるで動画みたいだなと思ったのです。この作品を作っていたのは大学の3年生の時なんですが、そのときにはコマ撮りをいくつか作った後だったので、この動画見たいな写真という手法をコマ撮りでもう一度動画にしたら面白いんじゃないかと思って作り始めました。

メイキング

オオカミの帽子やブタは手作りです。

オオカミ役は友達、カメラマンが僕という感じで道端で撮影するわけですが、オオカミの帽子をかぶった友達とブタを抱えた僕が歩くとすごい注目されました。指さされたり「ブタだー」って子供に叫ばれたり(笑)

オオカミの写真撮影は友達と一緒に1歩ずつ歩きながらやって、終わりまでいったら最初の場所に戻って今度はブタの撮影。ブタを動かす係はそのオオカミ役の友達。ブタを撮り終わったら背景だけの撮影。外で3回撮影して、それらを印刷したら最後に部屋の撮影なので1コマの撮影に4回シャッターを切っている計算に!

公園からスタートして、階段を降りたり、踏切を渡ったり、エレベーターで上がって、プールで泳いだりのアイデアは自分の部屋をながめながら長い間考えて撮影しました。同じ風景ばかりだと飽きてしまうので、写真の貼り方も床や壁などバリエーションを出そうと思ってました。

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印刷した写真は1300枚くらい。自宅のプリンターで印刷していたのですが、用紙やインク代は5万円になりました。写真の裏にどのシーンのどのキャラクターで何番目に使うのかなどをメモして管理しておくのが大変でした。

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プールのシーンではオオカミの写真はコップの上に乗せています。隠すつもりはなかったのですが、水をはったらコップも見えなくなってしまいました。

この作品がYouTubeで「おすすめ作品」に選んでもらえて再生数がのびたのです。2009年ごろの話なんですが、そのころはすべてのユーザーが同じ「おすすめ作品」を見ていたのです。そこに紹介されるとすごい再生数がのびたのです。いまは「あなたにおすすめ」みたいにバラバラなんですけど。
それで話題になって、そこからコマ撮りの仕事がくるようになりました。
それ以降の竹内泰人の話はこちらの「コマ撮るヒトビト:竹内泰人」にて。


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「コマ撮り大好きコマドリスト」を名乗って活動中。
コマ撮り映像作家、CM監督、アニメーター。本人が監督するだけでなく、他の監督の企画にコマ撮りアドバイザーとして参加することも。

マネージメントはCM制作会社キラメキ。お仕事の依頼はこちらまで
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