アニメーター・峰岸裕和さんのアニメ道具を見せていただくアニメーターズツールズdwarf編・最終回の今回は、峰岸さんがお持ちの道具の中からコマコマ隊が「これは!」と思った便利グッズを紹介します。
ピン刺し
人形の足に刺すピンを、すぐ使いやすいように控えておくためのもの。
虫ピンは人形アニメでは特によく使うものなので、アニメーターさんによっては
小さく切ったコルク板をセットの邪魔にならないところに置いたり、重りをつけたコルク板をお持ちだったり、いろいろなスタイルがあります。
これなら持ち運んだり、落としてもピンが散らばったりする心配がありません。
またピンの捨て場に困る時は、容器が折れたピンを入れるゴミ入れになる、すごく良いアイデアグッズだと思います!
サンダーバード
こちらは、何に使うものかわかりますか?
吊り具を使う際、通常はアルミ角棒や垂木などをセンチュリーで挟んで固定するのですが、センチュリーのヘッドやジョーズを4つも使うことになるので、撮影現場では足りなくなることもあります。
そこでこのサンダーバードが活躍するのです。
上の写真では、センチュリーのヘッドにかませていますが、オスダボが付いているのでセンチュリーやライトスタンドのメスダボに直接取り付けることができます。
※実際に使用しているところ
実はこちらも手づくりです。
アルミのL字材にアルミ棒をネジで固定し、側面にエポキシ系接着剤でナットをつけ、ネジつきハンドルをつけた作り。
一見、作るのは難しそうに見えますが、溶接などをしていないので工具があればできそうです。吊り具をよく使う方は、よりスマートなセッティングのために真似してみてはいかがでしょうか。
こちらは角材同士を繋げるタイプのもの。引っ掛けた角棒の端に取り付けることで、角材の転落防止の役割を果たします。
コの字金具はネジで接続されているので回転させることができます。
※実際に使用しているところ
余談:名前の由来
ところでサンダーバードという名前、気になりますよね。
現場ではこの器具を指してサンダーバードと呼ばれていたのですが、
これは…やっぱり“あの”サンダーバード??
峰岸さんにお聞きしたところ、
「フリーの時に5個作り、サイドに1〜5の番号を貼り付けました。 名前がないと扱いにくいため、
割とお助け道具的なこいつの使い道から、サンダーバードと名付けました。 サンダーバードも1〜5号までだったので。」
とのことでした。
つい呼びたくなる粋な名前ですね。サンダーバード1〜5号は今日も現場で大活躍!
アニメーターズツールズ・dwarf編によせて
6回に分けて連載していましたdwarf編は今回で完結です。
アニメーターさんの道具は、作る人・使う人によって様々な形があり、共通の資料がほとんどありません。「アニメーターツールズ」を通して、アニメ道具を作りたい人の助けになればと思い記事を作りました。
日本のトップアニメーター・峰岸さんの道具は
ほぼご本人か、関節師・人形師として有名な小前隆さんによる手づくりです。
全てはアニメーションをよりやり易くするために作られたデザインですが
すばらしい加工技術が込められた美術品でもあると私は思っています。
今回撮影させていただいた写真を通して、その技術の素晴らしさが少しでも後世に残っていけばいいなと思いました。
それでは最後に、峰岸さん、dwarfの皆様、ご協力誠にありがとうございました!