コマ撮り道具 2017年6月10日

ベック-dwarf編①-【Animator’s tools】

コマ撮りのやり方は人それぞれ。
その道具も、撮りたいものやその人のスタイルによって、千差万別、十人十色。

日本にはコマ撮りのための既成の道具はほとんどありません。
人によって自作したり、既製品を組み合わせたり、色々工夫して撮影をしています。

それでは、プロのアニメーターさんはどんな道具を使ってアニメしているんだろう?
という疑問を持ったコマコマ隊は、
有名なコマ撮りアニメーションスタジオ・dwarfさんにお邪魔して、
アニメーター・峰岸裕和さんのコマ撮り道具を撮影させていただきました!

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〜峰岸裕和さん略歴〜

1955年栃木県生まれ。
東京デザイナー学院アニメーション科を卒業後、岡本忠成氏が主宰するエコー社に『南無一病息災』(73)の助手として入り、以後アニメーターとして岡本忠成作品『ちからばし』(76)、『虹に向かって』(77)に携わるとともに、日本を代表する人形アニメーション作家である川本喜八郎氏に師事、『道成寺』(76)、『火宅』(79)、『蓮如とその母』(81)、『不射の射』(88)、『セルフポートレート』(88)『いばら姫またはねむり姫』(90)などの制作に携わる。
1999年から、NHKキャラクター『どーもくん』シリーズのアニメーションを担当。
「こまねこ」シリーズ、「まくまくん」シリーズなど、合田とコンビを組んだ作品多数。またCMでも、キリンビバレッジ「キリン生茶」、カルビー「ポテトチップス」、ノーベル製菓「はちみつきんかんのど飴」、ユニチャーム「ソフィー」、P&G「さらさ」、ヤクルト「ミルミル」、西友「バスプラ」ほか多数のアニメーションを手掛け、映画『ジュブナイル』(00)では3DCGアニメーターを務めている。
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このシリーズを「アニメーターズ・ツールズ」と題し、
道具の種類別に、何回かに分けてご紹介していきます。
コマ撮りを本格的にやりたい方にとって、たいへん貴重な資料です。
道具を自作してみたいと思っている方は写真をじっくり見て参考にしてくださいね。

峰岸さん、dwarfのみなさま、ご協力誠にありがとうございました!

dwarfのホームページ

 

【ベック】

人形の足を、ネジで固定するための道具。市販の道具ではなく、職人さんの手作りです。
beck※静止画はクリックで拡大

名前の由来

峰岸さんがチェコのトルンカスタジオでお仕事をされていた時に、
足ネジのことをチェコ語でšroubek(シュロウベク)と呼んでいたので、日本に戻り仕事をするときには略してベックと呼ぶようになったそうです。

ちなみに英語では「tie down rod」と言うそう。人形の足をネジで固定する方法はタイダウン式(tie dwon system)とも呼ばれます。
beckGIF
真鍮製の長ネジの先端にツマミが付いているような形状です。
下のツマミは固定されており、上のツマミは内部にネジが切ってあるので、回すと上下に動きます。

使い方

解説画像

人形の足裏には穴があり、ネジが切ってあります。

まず、人形の足を固定するセットの地面に
ドリルドライバーなどで穴をあけます。
セットの下からベックを差し込み、下のツマミを持って回します。
ネジが人形の足のネジ穴をとらえたら、上のツマミを回します。

上のツマミはネジが切ってあるので、ナットのような役割を果たします。
そのまま締めこんでいけば人形と地面がしっかりと固定されます。

撮影を効率良く進めるため、
人形が歩く場合は、地面にネジの通る穴を事前に開けます。
その穴のうえに足がくるように歩かせなくてはならず、
アニメートには緻密な計算と調整が必要になってきます。

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ABOUTこの記事をかいた人

阿部靖子

アニメーター・セット/人形造形
コマ撮りアニメーターをやっています。動かすのが好き。
セットや小道具、人形も作ります。
ドラゴンについての解説を書いてますが、まだわからないことも多いので
こういう使い方もあるよ!等あったら、ぜひメールください。
お仕事はこちらから→ yasuko.a.85@gmail.com
Facebook:yasuko.abe.16