作品レビュー 2017年12月18日

化けヤモリ

オカダシゲルさんの自主制作作品『化けヤモリ』を紹介します。インタビュー時に撮影現場も見させていただきましたので、使っている道具や舞台裏もあわせてご覧下さい。

『化けヤモリ』

パペットアニメーションで、和風モンスター系ホラームービーです。クレイアニメのシーンはグチョグチョしてて怖いしキモいです!ホラー苦手な人はごめんなさい。
1話は4分くらい、全5話です。

1話

2話

3話

4話

5話

ヤモリがただ恨みとかの感情で襲っているのかと思いきや、切ない動機(狂ってますけど)があったんですね。

それにしても化けヤモリのデザインが本当に気持ち悪いですね(褒めてますよ!)。ぶつぶつと穴があいた皮膚も嫌ですし、途中のキメラ状態のウネウネした動きとか、ゆっくりもたついた様な動きとか、生き物っぽいというか生っぽいというか、とにかく生理的にイヤな感じです(良い意味でね)。それと最後の長女を食べる時に口を左右に振る動きが特に生物っぽいって感じました。オカダさんは以前にもホラーコマ撮りを作ってて、その時も「気持ちワルさがすごいな〜」と思ってましたが、そこの磨きが掛かってると思います。

あと、人間の黒目がちなデザインも不穏な顔に見えて怖いですね。回想シーンでは白目のある顔になっているから、これも意図されたデザインだと思います。

撮影部屋

オカダさんの自宅には工作部屋と別に撮影用の部屋があります。羨ましい!

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天井に吊ってある白カポックは照明のバウンス用。奥の青いのは合成用のブルーバックの布ですね。それ以外にも機材やセットの材料が大量においてあります。

部屋の動線

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アニメート時に使うモニター台。上にはコンテを乗せる台も。足元には電源タップがあり、照明の電源コードが繋がっていました。

オカダ「アニメートとカメラの操作は撮影台の前で座ったままやります。撮影用の照明器具は足元の電源タップに繋がっているから、タップのスイッチを使って全ての照明のONOFFが撮影台の前に座ったまま操作できる。天井の室内照明も手元にあるリモコンでつけられるから、撮影を始めるときは、撮影照明をON、室内照明をOFF。撮影が終わったら室内照明をON、撮影照明をOFF。って具合に使っている。スタジオと違って床がしっかりしてないから、少し動いただけでカメラ位置が微妙にずれるし、狭い室内をうろちょろしてカメラとかセットにぶつかるのが危ないから、撮影中は極力、動かない。撮影部屋は動線が大事だね。」

スライダック

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スライダックは電圧調整をするための変圧器。電圧を変えることで照明の明るさを変えることが出来る。また、家庭用電源は電圧が安定しないから、撮影をしていて急に電圧が変わって照明の明るさが変わったときはスライダックで調整する。

オカダ「基本キーライトをたいて、おさえの照明にスライダック使う感じかな。スライダックは高いからヤフオクで中古を探して落札してるね。」

セットの組み立て

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物語の舞台となる日本家屋のセット

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セットの壁と壁はクランプ(シャコ万力)でとめてある。

オカダ「それぞれの壁は小さな万力でとめてて、全ての壁がバラけるように出来てる。壁を組み替えて、どこからでも手を入れてアニメできるように。アングル決まったら映らない壁は全部とっちゃう。

特に今回は密室劇だから、いろんな方向からアングルがきれないと、どうしてもカットが単調になっちゃう。

クランプで止めるやり方は彩工房で教えてもらった。壁は薄い板とかスチレンボードで作るほうが簡単で工作も楽だけど、それだとクランプで挟めなくなっちゃう。木のパネルで作れば、撮影の時にすぐ止められるし、強度もある。挟むだけのシンプルな構造だからセットも壊れにくい。昔から使われている方法は理にかなっているなって、あらためて思っちゃう(笑)小さいクランプは百均で買ったやつだけど、全然、問題ないよ」

両面テープケース

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プラスチックケースに針金が付いた容器。キャストが流し込まれてて中には鉛が入っている。フタがあるので、両面テープなどをつけたまま持ち運びができる。

オカダ「これは撮影現場で垣内スパイラルを見て自分なりに作ったもの。僕は、たくさん貼れなくていいからコンパクトで持ち運びがしやすいものにしてみた。あと、シールを剥がす時に両手を使うのが気になってね。これのミソはね、中に鉛の板を入れて重くしてあるから、台座を押さえないでも片手でテープをとれるの。アニメートするときに片手で人形を掴んだまま、もう片手で作業することが多いから、どうしても片手で両面テープをとりたくって。

実はこのテープを貼る黒い針金も、そのために工夫していて、片手で取るためにテープがはがれやすい素材を使いたいなって思ってたんだけど、そのときテープが付きにくいって売り文句のフッ素加工されたピンセットを見つけてね。フッ素加工はテープがつきにくいんだ。って思って、フッ素加工された針金状のものを探して見つけたのが、フッ素加工で汚れにくい魚を焼く網。それをバラしてここにつけたの。だから普通の針金よりはすんなりと剥がれる。…若干くっつくけどね(笑)」

虫ピン刺し

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人形の足に刺す虫ピンをストックしておくオカダさん自作の虫ピン刺し。この台にも鉛が仕込んであり重くしてある。ラジオペンチなどでピンをつまんで持ち上げても台が持ち上がらない。

セッシュのセット

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コルクのブロックやスチレンボード、鉛のキューブなど。高さ調節のセッシュなどに使う小さい素材が、現場に持っていけるようにケースに収まっている。

オカダ「一見ゴミみたいなのが使うっちゃ使うんだよね。こういうのが増えてくるとさ、ゴミを持ち歩いているみたいになっちゃう(笑)持ってたやつがたまたま使えた!っていう経験を一回でもしちゃうと捨てられなくなっちゃうんだよね。何かの時に使えるかも、ってね。これも3年くらい出番ないけどずっと持ってる(笑)」

取材協力ありがとうございました。

いかがでしたか。いろんな工夫にあふれた道具や部屋の環境。参考にしたいポイントがたくさんありましたね。
オカダさん、取材させていただいてありがとうございました。

リンク

パペットBOX
オカダシゲルさんのサイト

nariomaru
オカダさんのYouTubeチャンネル

nariomarudarkside
オカダさんのYouTubeチャンネルですが、名前にダークサイドが入っている通り、ホラー作品のチャンネルです。『化けヤモリ』はこちらのチャンネルでアップされています。もう一つの和風ホラー映画『逆面』もどうぞ。

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ABOUTこの記事をかいた人

竹内 泰人

「コマ撮り大好きコマドリスト」を名乗って活動中。コマ撮りの監督したり企画を考えたり、アニメーターをしています。CM制作会社キラメキにてマネージメントをお願いしています。お仕事の依頼はこちらまで
【キラメキのサイト】メール:kirameki@kirameki.cc
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