作品レビュー 2016年10月29日

シヤチハタ スタンプムービー

シヤチハタさんのハンコによる、“印影のみ”でつくったスタンプムービー!

50歳の不合格

こちらは去年(20015年)の作品です。
シヤチハタのXstamper(朱肉がいらないハンコ、みんながシヤチハタって呼んでるアレの正式名称ですよ)が50周年を迎えまして、それを記念したムービーです。

15年ぶりの”御見舞”

そして先日公開されました、第二弾!
今度は髙橋さんのお話です。

スタッフ

監督:竹内泰人
カメラマン/照明:佐野 克典(http://www.clove-r.jp/
2つとも同じスタッフでした。

メイキング話

登場人物は紙にハンコを押してできた印影です。印影がある紙をたくさん用意して、それを1枚1枚置き換えて撮影してコマ撮りアニメーションにしています。

準備

あらかじめAfterEffectsでアニメーションを1度つくりました。その映像を1フレームずつ画像に書き出して、それらを実寸大のサイズで紙に目で見えるギリギリの色の薄さで印刷。そこに捺印していきます。

01
紙の端にはシーンの名前と何秒何フレーム目の紙かも印刷されています。

印影の直径は9.5mmなので1mmくらいずれると、画面の中では大きなずれになってしまいます。なのでこんな捺印用のガイドの型紙も作りました。

02
この黒い紙をあてて、その穴にあわせて捺印するのです。

そうしてつくった紙は伊藤編は400枚以上!スタンプのなつ印回数は1500回以上!
髙橋編では紙が600枚、捺印回数は7000回以上!!
髙橋編は交差点が大変でしたね。A3用紙1枚に60人が歩くので。

ちなみに、なんど捺印してもシヤチハタのスタンパーはかすれないです。さすがシヤチハタ。当然ながら失敗した紙の枚数は数知れず。撮影が終わってから小さく裁断してメモ帳を作りました。これらの印影の紙を全部用意するのにどちらも1ヶ月くらいかかってます。

撮影

真俯瞰にセットしたカメラの下に紙を置いて撮影します。どのカットもA4用紙の中に収まるのでカメラはすごいズームしてるし、現場はある意味でコンパクトなものでした。紙を置き換えていくのですが、このときに毎回同じ場所に紙を置いてもうまくいきませんでした。なぜなら捺印は手作業なのでどうしてもズレがでるので、紙の位置を微妙にずらしてズレを少なくする必要があるのです。ある程度のズレはコマ撮りらしさとして大丈夫なのですが、2人がしゃべるシーンの場合はしゃべっていない方は動かないようにするとか、そういう微調整をしました。

影絵

03
電車や建物の影絵はこんな感じで黒い紙とライトで作っています。こちらは伊藤編の帰り道のシーン。この黒い紙を1コマにつき1mmずつ動かして歩いている様子を描きました。

04
伊藤編の玄関のシーン。右側の黒い紙に玄関の穴をあけています。左側のレールにライトをつけて、スライドさせることで車のヘッドライトを表現しました。

05
伊藤編の屋上のフェンスはこんな感じ。被写体も小さいので少しの傾きの違いで影の出方が全然変わってしまうので、粘土にさして角度の調整をしました。それと、フェンスのような影が出る網を探すのも一苦労でした。似たような網でもライトをあてると影の形が全然違うのです。いろんな網や網のようなものを試しました。

06
そして髙橋編のエスカレーターの影は、ライトボックスを使っています!ライトボックスに黒い紙をはり、エスカレーターの部分だけ穴をあけます。そこにエスカレーターの縞模様を印刷したOHPシートを置いて、1コマごとにずらすことでエスカレーターの影絵を動かしています。こうすることで窓からの光とカスカレーターの影を両立させました。2作品目ということで影絵も色々と考えましたね。


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「コマ撮り大好きコマドリスト」を名乗って活動中。
コマ撮り映像作家、CM監督、アニメーター。本人が監督するだけでなく、他の監督の企画にコマ撮りアドバイザーとして参加することも。

マネージメントはCM制作会社キラメキ。お仕事の依頼はこちらまで
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