コマ撮りのつくり方 2016年11月5日

コマ撮り撮影の様子(小さい現場)

プロのコマ撮りの現場は、スタジオも機材も大きくて本格的。
そういう環境じゃないとコマ撮りは撮れないの?
そんなことはありません。作品の規模にもよりますが、個人の部屋のようなわずかなスペースでもコマ撮りはできるんです。

個人制作、または限られたスペースや予算内で撮る撮影現場のイメージ。
(イラスト:阿部靖子)

大きい現場の様子はこちら

genba02_name

1:照明

アイランプがよく使われる。理由は、蛍光灯などと違いフリッカーが起きないためと、比較的手に入りやすいため。大型電気店などで購入できる。すごく熱くなるから夏場は大変!

2:レフ板

光を反射させてセット全体に光をまわすために、ここではカポック(発泡スチロールの板)を吊ってそこに光をあてている。天井が白ければ、天井に光をあてても似た効果が出せる。

3:遮光

窓は遮光カーテンや暗幕でしっかり遮光!

4:カメラ

CanonかNiconの一眼レフカメラか、マニュアル設定ができるコンパクトデジカメでもいい。
個人制作ならiPadやスマートフォンなどで、コマ撮り用のアプリを使って撮ることもできる。

5:突きだし

ボールや人形を支えている。カラ舞台を撮っておいて、あとで合成で消す。

6:かきわり

背景はかきわり。ここではセットペーパーを垂らしている。
セットペーパーはたるんだりなびいたりしないようクリップ等で固定しよう。

7:アニメーター

一人で撮影するときはアニメーターが直接PCを操作する。

8:机

机はゆれないしっかりしたものを選ぶ。

9:ガムテープ

机や三脚がずれないようにガムテープで固定しよう。

10:コード

うっかりコードを足にひっかけると大変なことになる。床にテープで止めておこう。

11:床

人の重さで床が沈んでしまい、カメラやセットが動いてしまうことがあるので、カーペットや畳は向かない。フローリングでも人が乗ると沈んでしまうことはよくある。

12:音楽

一人 or 少人数なら好きな音楽をかけられる。

    
コマ撮りのつくり方 2016年11月2日

コマ撮り撮影の様子(大きい現場)

コマ撮りってどんな風に作られているのか?
作っているところを見たことない人には、イメージしづらいと思います。
そこでプロのコマ撮り現場の様子を、現場の簡略図とともに紹介します。
作品ごとに様々な現場があるので、これはあくまで一例です。

長編作品やCM撮影など、大きなスタジオを使った撮影現場のイメージ。
(イラスト:阿部靖子)

genba01_name

1:照明器具

この図では簡略化しているが照明器具は実際はもっとたくさんあることが多い。
どのように照明を使うかは作品によって本当にさまざま。

2:ディフューザー

アルミの枠に半透明のビニールシート(もしくはトレーシングペーパー)を張ったもの。裏から当てたライトの光を柔らかくする。

3:センチュリー

何かを固定したいときに使う器具。高さを調整でき、拡張パーツ(アーム、ジョーズ等)をつければ使い方は無限大。金属製。ここでは吊り具をかける角材を固定している。

4:アニメーター

人形などを動かす人。写り込みや反射を防ぐため、アニメーターは黒っぽい服を着る。アニメは座ってやるときもある。

5:吊り具

見えないくらい細い糸でものを浮かせる器具。三点で吊ると安定する。ここではサッカーボールを吊っている。影が落ちないように、できるだけ高い場所に角材を渡してひっかける。

6:目安棒

人形がどれくらい動いたかのめやすを測る棒。

7:針山

人形の足に刺して固定するためのピンを控えておく。コルクの固まりやコルク板が使われる。

8:かきわり

板や布などに背景を描いたもの

9:サブモニター

アニメーターが見る用のモニター。

10:カメラ

ドラゴンフレームと相性のいいCanonかNiconのカメラがよいが、現場によってさまざま。
ドラゴンとつながらないフィルムカメラやムービーカメラが使われることもある

11:テンキーパッド

アニメーターがドラゴンを操作したい時に使う。

12:アニメーター道具

アニメ中に使う道具は、手の届くところに置いておく。ハサミ、両面テープ、虫ピンケース、ラジオペンチ、パーマセルテープなど、道具は人と作品によってさまざま。

13:セット

アニメーターが体重をかけても揺れたりズレたりしないよう、しっかりした作りがよい。木材や鉄骨などで組む。立ったままアニメートがしやすいようにアニメーターの身長に合わせて設計され、時には1m以上の高さになることもある。

14:ウェイト

重り。砂袋、ショットバックとも呼ばれる。アニメ中にうっかり蹴ってしまいそうなところ、不安定なところには動かないようにウェイトをかけよう。

15:床

スタジオの床はコンクリートや、リノリウムが多い。

16:箱馬(ハコウマ)

木でできた箱。コマ撮りに限らず、スタジオの必需品。決まった規格がある(絵はてきとう)。イス・テーブル・踏み台になったり、セットを支える台にすることもある。よく足りなくなる。

17:タイムシート

アニメの設計図。どのコマでどういう動きをするのかなど、動かす内容が細かく書かれている。アニメーターが事前に用意して、アシスタントが読み上げながら進めていく。書き方は各人のスタイルによってさまざま。書かない人も多い。

18:パソコン

収録用パソコン。カメラと繋がっている。ドラゴンフレームで撮影するときは一台でできるが、他のソフトウェアを使うとパソコンが2台以上になるときもある。ノート・デスクトップは問わない。

19:アシスタント

タイムシートの読み上げ、PCの操作、バレもの(映ってはいけないものが映ってないか)をチェックする人。アニメーターアシスタント、略してアニアシと呼ばれることも。アシスタントもいちおう黒っぽい服を着る。

20:お菓子

小腹が空いたとき用。大きい撮影だと、制作サイドで用意してくれることもある。個包装だと手が汚れないので嬉しい。

    
作品レビュー 2016年10月29日

シヤチハタ スタンプムービー

シヤチハタさんのハンコによる、“印影のみ”でつくったスタンプムービー!

50歳の不合格

こちらは去年(20015年)の作品です。
シヤチハタのXstamper(朱肉がいらないハンコ、みんながシヤチハタって呼んでるアレの正式名称ですよ)が50周年を迎えまして、それを記念したムービーです。

15年ぶりの”御見舞”

そして先日公開されました、第二弾!
今度は髙橋さんのお話です。

スタッフ

監督:竹内泰人
カメラマン/証明:佐野 克典(http://www.clove-r.jp/
2つとも同じスタッフでした。

メイキング話

登場人物は紙にハンコを押してできた印影です。印影がある紙をたくさん用意して、それを1枚1枚置き換えて撮影してコマ撮りアニメーションにしています。

準備

あらかじめAfterEffectsでアニメーションを1度つくりました。その映像を1フレームずつ画像に書き出して、それらを実寸大のサイズで紙に目で見えるギリギリの色の薄さで印刷。そこに捺印していきます。

01
紙の端にはシーンの名前と何秒何フレーム目の紙かも印刷されています。

印影の直径は9.5mmなので1mmくらいずれると、画面の中では大きなずれになってしまいます。なのでこんな捺印用のガイドの型紙も作りました。

02
この黒い紙をあてて、その穴にあわせて捺印するのです。

そうしてつくった紙は伊藤編は400枚以上!スタンプのなつ印回数は1500回以上!
髙橋編では紙が600枚、捺印回数は7000回以上!!
髙橋編は交差点が大変でしたね。A3用紙1枚に60人が歩くので。

ちなみに、なんど捺印してもシヤチハタのスタンパーはかすれないです。さすがシヤチハタ。当然ながら失敗した紙の枚数は数知れず。撮影が終わってから小さく裁断してメモ帳を作りました。これらの印影の紙を全部用意するのにどちらも1ヶ月くらいかかってます。

撮影

真俯瞰にセットしたカメラの下に紙を置いて撮影します。どのカットもA4用紙の中に収まるのでカメラはすごいズームしてるし、現場はある意味でコンパクトなものでした。紙を置き換えていくのですが、このときに毎回同じ場所に紙を置いてもうまくいきませんでした。なぜなら捺印は手作業なのでどうしてもズレがでるので、紙の位置を微妙にずらしてズレを少なくする必要があるのです。ある程度のズレはコマ撮りらしさとして大丈夫なのですが、2人がしゃべるシーンの場合はしゃべっていない方は動かないようにするとか、そういう微調整をしました。

影絵

03
電車や建物の影絵はこんな感じで黒い紙とライトで作っています。こちらは伊藤編の帰り道のシーン。この黒い紙を1コマにつき1mmずつ動かして歩いている様子を描きました。

04
伊藤編の玄関のシーン。右側の黒い紙に玄関の穴をあけています。左側のレールにライトをつけて、スライドさせることで車のヘッドライトを表現しました。

05
伊藤編の屋上のフェンスはこんな感じ。被写体も小さいので少しの傾きの違いで影の出方が全然変わってしまうので、粘土にさして角度の調整をしました。それと、フェンスのような影が出る網を探すのも一苦労でした。似たような網でもライトをあてると影の形が全然違うのです。いろんな網や網のようなものを試しました。

06
そして髙橋編のエスカレーターの影は、ライトボックスを使っています!ライトボックスに黒い紙をはり、エスカレーターの部分だけ穴をあけます。そこにエスカレーターの縞模様を印刷したOHPシートを置いて、1コマごとにずらすことでエスカレーターの影絵を動かしています。こうすることで窓からの光とカスカレーターの影を両立させました。2作品目ということで影絵も色々と考えましたね。