作品レビュー 2017年9月14日

オトナドワーフ『weaving』

ジュエリーの蜘蛛が怪しくも美しいコマ撮りの紹介です。

すごく綺麗でこんな色合いのコマ撮りは初めて見ました。実際の蜘蛛の巣についた水滴がキラキラと光る様子は宝石みたいに見えますよね。それを本当にジュエリー(的な素材)で表現したとも言えますが、それ以上に、この映像の美しさと妖艶さは蜘蛛や昆虫たちがもつ魅力に通じていると思います。最後に蝶が食べられてしまうのか、という終わり方も単純に綺麗なだけでない世界観になっていますよね。

オトナドワーフ

こちらはドワーフさんが作られた「オトナドワーフ」というシリーズの2作目。オトナドワーフは「かわいいだけではないシックなライン」(dwarfのTwitterより)の作品たちです。その第1段はこちら↓。

SEASON’S GREETINGS 2017 FROM DWARF

ケーキの形をしたゾートロープの作品ですね。回転する様子は「動画撮影&ストロボ」ではなくコマ撮りでしょうか?リスが走る様子がかわいいですね。雪がラインストーンで表現されていますね。映像の最後はコマ撮りでリスが動き出してケーキを登るという、作品の枠を1つ破ってラストに行くという構成も素敵です。

全体的に白とグレーの色彩なんですが、これは実際にやってみると難しいです。白い背景の前にそのまま白いキャラクターを置くと馴染みすぎて見えづらくなってしまうのです。オトナドワーフはどちらも色彩設計を美術造形とライティングでしっかりされていて、ビジュアルが美しいです。

    
作品レビュー 2017年9月6日

IKEA “NEW LOWER PRICE”

IKEAのお仕事してきましたので紹介です。

「さらに低価格に」KIVIK篇

「さらに低価格に」OFTAST篇

カタログに挟まってる付箋や紙切れたちがカップルや家族になってて、みんなでワイワイするコマ撮りです。そして、お皿が69円ですって!!びっくりですね。

スタッフ

監督:竹内 泰人
アニメーター:阿部靖子
アシスタントアニメーター:ながしまたいが
カメラ&照明:古賀 親宗 sinca.inc
美術:ハタデコラティブアート

    
コマコマだより 2017年8月31日

かわいさ過敏症

こんにちは。
みなさん元気にコマ撮ってますか。
今日は語りというかエッセイというか。

何年か前の監督として入った撮影のときの話です。それは日用品が動くコマ撮りだったのですが、そのときにプロデューサーに「かわいくしすぎないでほしい」と言われました。それで僕はすごく悩んだんです。コマ撮りってかわいいのが得意だと思うんです。日用品もコマ撮りで動き出したらかわいいキャラクターになります。そして、その撮影のときの日用品は見た目もかわいい物でした。それなのに「かわいくしすぎないで」ってどうしようって。

かわいくならないよう、基本シンプルな動きでアニメートしてたんですが、あるシーンですごく悩んだんです。それは物がフレームインしてきて止まるというシーンで、シンプルなやり方なら姿勢はそのままにスーッと水平移動だけで終わるんですが、僕はそれをちょっと傾けた状態でフレームインして、カタッと止まる感じにしたかったんです。

シンプルバージョン
kawaisakabinsho_1

傾けバージョン
kawaisakabinsho_2

ちょっと傾けるとかわいいというか、キャラクターらしくなってグッとくるというか。でもそれが可愛すぎてNGかもと悩んで、プロデューサーにおそるおそる提案したんですよ。「これ、可愛すぎないでしょうか?」って。そしたら「全然いいんじゃないですか?」って軽い返事が返ってきました。(泰人さん、なに心配してんだろ?)という表情でした。

その時気付いたんですが、僕とその人の「かわいすぎる」の判断基準は全然違ったわけです。

僕にはすごくかわいく見えるものでも、ほかの人にはそこまでかわいく見えてない。だからある程度かわいくしても「かわいすぎ」にはならない。それが分かってからは演出するのが楽でした。

これを「かわいさ過敏症」と名付けました。

僕は、コマ撮りの中でのちょっとのかわいさに「めっちゃかわいい!!」ってなってしまうんです。つまり過敏症です。

これ、かわいさに限らず色々あると思います。プロや職人から見たらすごく見えるものも、専門的でない一般人からしたらそうでもないこととか多いわけですけど、その中の1つのパターンというか。

(こんなに過剰な演出したら視聴者は飽きるだろう)と思って控えめにしたら、「もっとやってほしかった」みたいな感想もらったことありましたし。

専門的になればなるほど過敏症は進むような気がします。それ自体は悪いことではないと思います。でも、例えばお客さんが10の甘さのケーキが欲しいのに、甘さ過敏症のパティシエが「これすごく甘いよー」って1くらいの甘さのケーキを出しちゃうようなことになったら、ダメかなーって。自分以外の視点とか感覚も意識しないとな、と思ったという話。