コマ撮るヒトビト 2019年5月21日

スタジオビンゴ インタビュー2/2

インタビュー後編は、いろんな質問に答えていただきました。
インタビュー前編はこちら。

アンケート

Q:経験のある仕事(監督・アニメーター・美術・編集など)について

土田:ビンゴの仕事は、演出コンテ描いて、キャラデザからの人形造形や背景美術造形、アニメーション撮影して、バレ消しも含めた編集も全部自分たちでやっています。お仕事によっては音楽や効果音をつけるところまで、作品が完結するまで幅広くやらしてもらうことが多いかな。

泰人:キャラデザだけというのはありますか?

土田:キャラクターデザインだけ、というのはしょっちゅうはないけど。着ぐるみキャラクターのデザインをしたこともあります。着ぐるみ制作の業者さんに対して、デザインに近づくように監修までするお仕事でした。逆にキャラデザをもらってアニメーションを作ることもあります。

Q:いつも使ってるカメラは?

土田:EOS6Dが2台あって、コマ撮りはいつもこれ使ってます。

Q:普段やるアニメのフレームレートは?

土田:個人的に好きなのは15fps。30コマベースの2コマ打ち。2コマ打ちベースにしておいて、瞬間的にフルアニメにしたりするのが好き。テレビの仕事も多いから30ベースで作ることが多いね。

Q:タイムシートは使いますか?

土田:アニメートの計画するときにしっかりタイムシートを書きます。撮影ではそれを再現していくだけ。勉強させていただいたドワーフの峰岸さんがそうだったので。アシスタントしてた頃は、撮影前に峰岸さんが書いたタイムシートを渡されるから、それを演出コンテと見比べて、峰岸さんが撮影するカットに対してどのようなアニメートの設計したのかタイムシートから予測していました。そういったことを連日繰り返して行くと、峰岸さんはこういう絵をつくろうとしてるんだな、と段々と分かってきて。峰岸さんの背中を見てきて学んだことだけど、事前にイメージしとけば、アニメート中に悩むことがあまりない。撮りながら、ここのタイミングはちょっと早く出そうかなとかそういう修正はあるけど。

Q:好きな映像作品は?(コマ撮りに限らずなんでも)

土田:パッと思い浮かぶのが『ロードオブザリング』シリーズ。3部作いっきに撮っちゃって、それを一個ずつ仕上げるっていうやり方もすごいし、なおかつ興行的に成功させた。前代未聞なことにチャレンジしながら作品もちゃんと仕上げてるところがすごい。ピータージャクソン監督と作品を含めて好きかな。作品の中身もさることながら、チャレンジ精神がいいね。

武田:自分は90年代から2000年初頭くらいのまだCGに頼りきってないコマ撮りの短編作品がすごい好きで、影響を受けました。ロシアのガリー・バルディンは空間の描き方がうまいというか。本当にアナログで完結してて、空気感とかがすごい好きなんですよ。空間自体を作るっていうところにコマ撮りの魅力を1番感じます。彼の作品は人形が生きてる感じもすごくて、生々しさとか、そういうもの好きです。あとはスージー・テンプルトンの『Dog』という作品を学部時代に見て「こういうコマ撮りをやりたいな」って思いました。その2人の監督はコマ撮りをはじめるときにすごい影響をうけて、ずっと魅力を感じてますね。

『Dog』作者公式サイトから全編ご覧になれます。

大賀:何回も見返したのは「ナイトメアビフォアクリスマス」ですね。僕の中でコマ撮りを始めたきっかけというのもあるんですけど。コマ撮りの映画って他にも沢山ありますけど、動きがやっぱりいいと思うんです。動きの艶かしさというか、命を感じるというか。クレーン使ったカメラワークもすごいですし、あとパペットのサイズがめちゃめちゃでかいらしいじゃないですか。メイキング見ると分かるんですけど、ウギーブギーとかすごい大きい。やっぱり規模が違うなって。あと、僕はミュージカルが好きなんで。あの頃の歌だらけのディズニー作品が好きですね。

Q:アニメ中に音楽を聴きますか?

土田:音楽も聞くし、たいていラジオを聞いてるから、他の人がしゃべってても全然いい。

泰人:集中できないってならないですか?

土田:しっかりタイムシートを書いてればアニメート中は平気だね。ラジオを聴きながら1人で撮影してて、他のスタッフたちが喋ったりするのが聞こえると逆にはげまされる。笑ってくれてる方が元気がでるかな。一番聞くラジオは「安住紳一郎の日曜天国」。ポッドキャストで何回も聞いてる(笑)

武田:僕は時間が分からなくなっちゃうからラジオを聞いて時間の目安に使ってますね。音楽もちょっと戸惑ってる時に聞いたりして、気分を変えたいときに使ってるかな。ずっと音楽を聞いてるとかはないですね。

大賀:僕は特にこだわりはないんですけど、好きなアーティストの新曲を一日中リピートして聞いてたりします。何時間とかずっとひたすら。気に入っている曲だとずっとリズムを保ってられる。安定はしますね。飽きるんでしょうけど普通は。

現場であって嬉しかったこと。

土田:毎回そうだけど、クライアントさんが来て反応がいいっていうのが一番かな。スタジオに来た時に「わー!」って黄色い歓声があがると嬉しいよね。それに現場を見てもらうだけでも、クライアントさんとスタッフの連帯感が強くなる気がするし。だから現場に来て欲しいかな。

武田:僕も他の人の反応がやっぱり気になりますね。いまはSNSですぐ反応が見れるので、ビンゴが関わった仕事の反応を見ることがあります。すでにキャラクターがある作品を立体化した時には、「デザイン通りになってる」っていうファンの方の投稿を見ると、嬉しかったし安心するというか。その作品を前から好きな人が見ても納得していただけるっていうのが分かると「ああ、大丈夫だった」みたいな安心感というか。

阿部:たしかにたしかに。一般の方の何気ない一言って嬉しいですよね。

武田:作り手本人は完全には同じ目線で見ることができないので。ツイッターとかで直に見聞きできると、やりがいを感じますね。

現場であって困ったこと。

土田:仕事進めてて言ってたことが途中で変わってしまうってのは辛いよね。Aっていう演出だったのが B にしてって言われる。でもBになると準備が変わっちゃうからどうしようって。今だったら事情をちゃんと説明してAに戻せたりするけど。仕事を始めた頃はなかなかそういうのが難しくて。

武田:土田さんがそういう対応をされているの横で見ていて、自分が対応することになればどうするだろうと考えてしまいます。土田さんはうまく対処されてるんですけど、自分にはまだそこまで出来ないだろうなって。

泰人:そういうのはコマ撮りとはまた別のスキルですよね。

土田:前に泰人くんと一緒に仕事をしたときに、そういうのをまとめるのが泰人くんは上手いなって思って見てた。仕事だとそういうことも大事だと思うんだよね。別の案が出て来たときに、その案だと時間がこれくらいかかってこういう予算で、マイナスのこともある。元の案だとこういう良さがあるから、こっちの案がいいかもしれないって言って。最近は突然の思いつきに対して2つの案を言うようにしてる。メリットデメリットを比べて選べば、現場が安心する。泰人くんのやり方を見てそういうことかなって思ったの。

泰人:確かに僕はそういう意識がありますね。振り回されてるだけじゃなくて、選択肢があった上で選ぶなら、納得もありますよね。自分たちで選んだっていう感じがあればスタッフも納得して大変な選択肢も選べると思うので。

Q:動画を一本なんでもやっていいと言われたら、どんな企画をしたいですか?

土田:ずっとやりたいなって思ってるのは、アクションだね。大きな巨人と普通サイズの人が戦うとか映画みたいのやりたいね。小さい頃に『タイタンの戦い』とか『シンドバット』(*)を見てたのね。CGが出る前のSFXとしてのストップモーションを見てきたから、コマ撮りは映画のそばにあるっていう感覚があるね。いまでもアニメーション作品として撮ってるけど、心のなかでは映画を撮っているような気持ちもあるし、その辺が原点かもしれないね。映画は仕事しながらだとなかなか思うようには制作できないけど、チャンスがあれば作りたいなと思ってる。苦節何年みたいな感じでも実現したいなって思ってますね。

*『タイタンの戦い』(1981年)
*『シンバッド七回目の航海』(1958年)

共にアメリカの特撮映画。特撮の巨匠レイ・ハリーハウゼンの作品。実写とコマ撮りの合成により、ギリシャ神話やアラビアンナイトにでてくる様々なクリーチャーが人形アニメーションで描かれている。

武田:ビンゴには3Dプリンタだったりモーションコントロールカメラがあるので、技術面が発想のベースになっているものが作りたいです。モーション使うんだったらどういうモチーフでどういうシチュエーションでやれば効果的にできるのか、コマ撮りとしての面白さをどうやって出せるのかっていうのを考えています。でも技術面の面白さだけじゃなくて見た目として動きがあって楽しめるもの、小さい子にも伝わるものにしたいですね。見てもらえる人の年齢層を広げていけるような企画に挑戦してみたいです。

大賀:具体性はないんですが、とにかく”映像マジック”という感じで見る側に「どうやって撮っているの?」みたいな驚きがあるものが作りたいですね。 特にコマ撮りは手法的には古くからあるので「人形などが命を吹き込まれたように動く」という驚きは既にやり尽くされていて「アニメと呼ばれるものはそういうもの」という前提が現代の見る側には無意識的にあると思うんです。 だから、その次の驚きをどう工夫していくか。というところが挑戦しがいがあると思うんですよね。
過去の人々がお金や技術的に「出来なかった」事でも、今の時代では個人でも「出来る」時代になっていると感じるので、コマ撮りという手法も昔からのやり方のみならずコマ撮りを主軸に派生系という形で面白い表現などやってみたいですね。

常識を疑え

インタビューの合間に土田さんが話されたことが大変面白かったのでまとめました。

土田:最近Rihito Ueさんの作品を見て、「最近の自分がダメだな~」って思ったんだよねー。自分は固定観念に囚われて、チャレンジ精神を忘れてるな、守りに入ってるなーってね。あと最近読んだ本に「常識を疑え」っていうのがあったのを同時に思い出した。モーションブラーとかソフト使ってコマを増やして滑らかにするっていうやり方は僕からするとちょっと抵抗があるんだよね。アニメーターとしては撮ったものをソフトであまりいじりたくないというか。でも時代が変わる中でそういうやり方もアリなんじゃないかなって。

大賀:僕もあれを見て固定概念を壊したいなっていうのはすごい感じましたね。僕はずっとアーマチュアをやってきたんですけど、やってるからこそ「なぜ金属関節にこだわるんだろう」とか考えます。使いやすさはありますけど、他に何かないのかなって。3Dプリンターで関節つくってみたりとかやってますけど、それこそ常識を疑ってどんどんやっていきたいですね。それを今日も武田さんに一方的に話してたんですけど、「~~なんすよ!」って言いながら(笑)

武田:僕はただ聴いて吸収してます(笑)

土田:もっと攻めなきゃね。Rihito Ueさんの作品を見てそう思ったし、色々と勉強になったというか。すごい単純に悔しいなって思いました。がんばらなきゃって。

泰人:これからも、色んなことに挑戦していってください。今日はありがとうございました。

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工房見学〜スタジオビンゴ編〜

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ABOUTこの記事をかいた人

竹内 泰人

「コマ撮り大好きコマドリスト」を名乗って活動中。コマ撮りの監督したり企画を考えたり、アニメーターをしています。CM制作会社キラメキにてマネージメントをお願いしています。お仕事の依頼はこちらまで
【キラメキのサイト】メール:kirameki@kirameki.cc
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