コマ撮り道具 2017年7月15日

アイデアグッズ-dwarf編⑥-【Animator’s tools】

アニメーター・峰岸裕和さんのアニメ道具を見せていただくアニメーターズツールズdwarf編・最終回の今回は、峰岸さんがお持ちの道具の中からコマコマ隊が「これは!」と思った便利グッズを紹介します。

ピン刺し

ピン入れ2
人形の足に刺すピンを、すぐ使いやすいように控えておくためのもの。
虫ピンは人形アニメでは特によく使うものなので、アニメーターさんによっては
小さく切ったコルク板をセットの邪魔にならないところに置いたり、重りをつけたコルク板をお持ちだったり、いろいろなスタイルがあります。

峰岸さんの場合は
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ハンドクリームの空き容器の…
ピン入れ1
蓋の裏に!

これなら持ち運んだり、落としてもピンが散らばったりする心配がありません。
またピンの捨て場に困る時は、容器が折れたピンを入れるゴミ入れになる、すごく良いアイデアグッズだと思います!

サンダーバード

サン2
こちらは、何に使うものかわかりますか?
吊り具を使う際、通常はアルミ角棒や垂木などをセンチュリーで挟んで固定するのですが、センチュリーのヘッドやジョーズを4つも使うことになるので、撮影現場では足りなくなることもあります。
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そこでこのサンダーバードが活躍するのです。
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上の写真では、センチュリーのヘッドにかませていますが、オスダボが付いているのでセンチュリーやライトスタンドのメスダボに直接取り付けることができます。
IMAG5241(1)のコピー
※実際に使用しているところ

実はこちらも手づくりです。
アルミのL字材にアルミ棒をネジで固定し、側面にエポキシ系接着剤でナットをつけ、ネジつきハンドルをつけた作り。
一見、作るのは難しそうに見えますが、溶接などをしていないので工具があればできそうです。吊り具をよく使う方は、よりスマートなセッティングのために真似してみてはいかがでしょうか。
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こちらは角材同士を繋げるタイプのもの。引っ掛けた角棒の端に取り付けることで、角材の転落防止の役割を果たします。
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コの字金具はネジで接続されているので回転させることができます。
IMAG5246(1)(1)のコピー
※実際に使用しているところ

余談:名前の由来

ところでサンダーバードという名前、気になりますよね。
現場ではこの器具を指してサンダーバードと呼ばれていたのですが、
これは…やっぱり“あの”サンダーバード??

峰岸さんにお聞きしたところ、
「フリーの時に5個作り、サイドに1〜5の番号を貼り付けました。 名前がないと扱いにくいため、
割とお助け道具的なこいつの使い道から、サンダーバードと名付けました。 サンダーバードも1〜5号までだったので。」
とのことでした。
つい呼びたくなる粋な名前ですね。サンダーバード1〜5号は今日も現場で大活躍!

アニメーターズツールズ・dwarf編によせて

6回に分けて連載していましたdwarf編は今回で完結です。

アニメーターさんの道具は、作る人・使う人によって様々な形があり、共通の資料がほとんどありません。「アニメーターツールズ」を通して、アニメ道具を作りたい人の助けになればと思い記事を作りました。

日本のトップアニメーター・峰岸さんの道具は
ほぼご本人か、関節師・人形師として有名な小前隆さんによる手づくりです。
全てはアニメーションをよりやり易くするために作られたデザインですが
すばらしい加工技術が込められた美術品でもあると私は思っています。
今回撮影させていただいた写真を通して、その技術の素晴らしさが少しでも後世に残っていけばいいなと思いました。

それでは最後に、峰岸さん、dwarfの皆様、ご協力誠にありがとうございました!

    
作品レビュー 2017年7月12日

DMG MORI 『人の暮らし編』

工作機械の会社DMG MORIのCMを僕(竹内泰人)が監督してきましたので紹介します!

DMG MORIは機械のギアなど部品を作っている会社で、DMGMORIの部品はあらゆるところ(映像中にあった車やショベルカーなどのギアや飛行機のエンジン、ペットボトルの鋳型など)で使われていて人々の生活に関わっているんですよということを表現するために、ゾートロープを使った映像を作りました。

メイキング

ゾートロープ

ゾートロープはスリットが入った筒の内側に絵が何枚も配置されていて、筒を回転させながらスリットから中をのぞくと絵が動いて見えるという装置です。「回転のぞき絵」と訳されますがそこから色々な発展をしています。回転するスリットがシャッターの役目をしているのですが、絵が描かれた円盤を回転させてストロボ発光の下で見るバージョンもありますし、シャッタースピードを調整したムービーカメラで撮影をしてもアニメーションに見えます。

今回はゾートロープ装置を1マス分ずつ回転させながらカメラワークをコマ撮りでするというやり方で映像にしました。スタジオビンゴさんにモーションコントロールカメラをお願いしました。ゆっくりとしたカメラワークで、ドリーズームしたりピン送りをしたり、立体感がでるようにしてみました。

造形

ゾートロープの造形はパンタグラフさんです。車、ショベルカー、飛行機、ISS、歯車を作っている工作機械やペットボトルの鋳型、Tシャツ製造機など大量の美術の制作とそれぞれのアニメーションの設計をしていただきました。こんなにたくさんのモチーフが動くゾートロープって中々ないと思います。車やショベルカーなど無機質な機械の動きが多いですが、そのなかでモグラがいたり魔法のようにTシャツが出来たりとユーモアのある動きも素敵です。
ゾートロープの1周のコマ数は造形物の大きさなどを考えて1周16コマにしました。そうすると全てのモチーフのアニメーションを共通の16コマで設計しないといけないのでそれが大変でした。

最終的に出来あがった造形物のクオリティが本当によくて、カメラでのぞきながら「どこから見ても絵になるなー」ってスタッフたちと言い合ってました。パンタグラフさんありがとうございました!

撮影が終わったゾートロープはイベントで展示されました。

スタッフ

監督:竹内 泰人
ゾートロープ造形:パンタグラフ
カメラマン:長坂 正文
モーションコントロールカメラ:スタジオビンゴ
照明:小林 宏至
メイキング映像監督:竹山 尚希
制作会社:PICS

    
コマ撮り道具 2017年7月8日

金属関節-dwarf編⑤-【Animator’s tools】

今回のアニメーターズ・ツールズdwarf編は「金属関節」についてです。

金属関節(アーマチュア)

関節1
金属製の球体関節(アーマチュア/armature)は、コマ撮りアニメーションでは人形の骨組みとしても使われますが、人形を支える「突き出し」としても、とても重宝する道具です。
峰岸さんは突き出し用にいろいろな大きさの関節をお持ちです。
dwarf_01_X1_0185 関節2 関節3
金属関節は、小前隆さんに作っていただいたものだそうです。
プレート部分はりん青銅製で、メッキ加工されているので
長年使い込まれたものですがとても綺麗です。

使い方

タンク
先に紹介した「タンク」に、
関節や真鍮棒を組み合わせて作った「突き出し」を接続します。
関節の数や大きさは、その時の人形やアニメート、セッティングの状況によって撮影前に選び、組みかえます。
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関節や金属棒を接続するには、このような真鍮製のパーツを使います。
真鍮の角棒や丸棒に穴をあけ、その穴に対して直角に、ネジ穴を空けたものです。
穴に真鍮棒や関節のパーツを差しこみ、六角ネジで留めることができます。
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金属関節を使った突き出しはアルミ線やヒューズなどでは支えきれない、重い人形を支えたりすることができます。
また関節のネジを調節することで、固定したいときはがっちりと・ゆるくすれば滑らかに動いてくれるので、アニメーションの幅が広がります。

金属関節があれば、こういったタンクを作ることもできます。シンプルタンク3台
関節をいくつか組み合わせているので可動域も広く、自在に動かすことができます。

シンプルタンク1

金属関節が欲しい時は

関節を手に入れたい場合は、自作するか
個人の職人さんに発注して作ってもらうか
探せば海外のサイトで販売しているところもあるようです。
金属関節については、また改めて記事していきたいと思います。